新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、大きな打撃を受けた中小企業等の事業継続や経営転換等を支援することなどを喫緊の課題として対応すべく、「令和2年第3次補正予算案」および、「令和3年度当初予算案」等について、2021年1月21日、閣議決定がなされました。
閣議決定された予算案は、今後、国会審議を経て、感染拡大の防止や景気の下支えの対策を速やかに実行するため、まず、第3次補正予算案の1月内の成立を図る方針です。
この1月中の成立を目指す第3次補正予算案には、コロナ危機の克服及び危機を契機とした構造転換による低成長からの脱却を図るために活用できる補助金「事業再構築補助金」が新設される見込みです。
事業再構築補助金とは
コロナで打撃を受け、現状の業種・業態では事業がたちいかない中小事業者等が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、新分野への挑戦、業種・業態転換、事業再編など、思い切った事業再構築への挑戦を支援する補助金です。
対象
新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編、またはこれらを通じた規模拡大等を目指す、以下の要件をすべて満たす企業・団体等。
- 申請前の直近6ヶ月のうち、任意の3ヶ月の合計売上高がコロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等(任意の3ヶ月は連続する3ヶ月でなくてもOK)
- 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等
- 補助事業終了後、3〜5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成
補助額と補助率
(1)中小企業、個人事業主等(中小企業基本法と同様範囲)
【通常枠】 補助額 100万円〜6,000万円 補助率 2/3
【卒業枠】 補助額 6,000万円超〜1億円 補助率 2/3
※卒業枠は400社限定。事業計画期間内に①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本金または従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠。
(2)中堅企業(定義未定)
【通常枠】 補助額 100万円〜8,000万円 補助率 1/2(4,000万円超は1/3)
【グローバルV字回復枠】 補助額 8,000万円超〜1億円 補助率 1/2
※グローバルV字回復枠は100社限定。以下の要件をすべて満たす中堅企業向けの特別枠。
- 直前6ヶ月間のうち任意の3ヶ月の合計売上高がコロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業
- 補助事業終了後、3〜5年で付加価値額または従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること
- グローバル展開を果たす事業であること
活用例のイメージ
活用例1
店頭販売での小売業を営んでいたが、コロナの影響で来客が減り、売上が減少した。
この状況を打開するため、店舗での営業規模を縮小し、ネット販売事業等に業態を転換したい。
補助経費の例:店舗縮小にかかる改修費用、新規オンラインサービス導入にかかるECサイト構築費用など
活用例2
飲食業を営んでいたが、コロナの影響で来客が減り、売上が減少した。
この状況を打開するため、店舗での営業をやめ、オンライン専用の注文サービスを始め、宅配・テイクアウト需要を取り込みたい。
補助経費の例:店舗縮小にかかる改修費用、新規オンライン注文サービス導入にかかる費用、広告宣伝費など
申請方法
本補助金の申請は、jGrants(電子申請システム)のみで行われる予定です。
jGrants利用には「gBizIDプライム」の取得が必要となります。gBizIDホームページにある「gBizIDプライム作成」からアカウント発行申請することで取得出来ます。
gBizIDプライムの発行には、通常、申請から2〜3週間を要すので、事業再構築補助金の活用をお考えの事業者の方は、
事前に取得申請をしてID取得をしておくことをおすすめします。
→jGrants(電子申請システム)の詳細とID取得方法はこちら
いかがでしたでしょうか。
「事業再構築補助金」については、公募開始時期や対象業種、その他条件等、詳細はまだ未定で公表されていませんが、コロナによる経済社会の変化に対応していこうと考えている事業者の皆さんにとっては、その補助額の大きさから見ても間違いなく大きな支援になるものと思われます。(詳細が公表されましたら、改めてその内容をお伝えいたします。)
また、令和3年度は、「事業再構築補助金」以外にもさまざまな補助金や助成金が措置される予定となっています。ご自身がやろうとしている事業にとって一番有効な補助金等を選択・活用して、この「コロナ禍」というピンチをチャンスに変えていきたいですね。
本記事は、内容の正確性や補助金等の採択を保証するものではございません。
補助金等への応募の判断は、各省庁・事務局からの正式な発表や、公募要領等を確認の上、ご自身の判断にてお願い致します。